2024/02/15 社会 コミュニケーション

カワダロボティクス社製NEXTAGE、理化学研究所「SPring-8」で活躍中《後編》



カワダロボティクス 社製ヒト型ロボット「NEXTAGE」は、販売開始以来さまざまな工程に導入いただき、活躍の場をひろげています。
今回は、国立研究開発法人 理化学研究所 放射光科学研究センター(兵庫県佐用郡) のセンター長である石川哲也先生にお話を伺いました。
同センターでの大型放射光施設「SPring-8」では放射光を利用した最先端研究が行われ、NEXTAGEもその一端を担っています。

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右側4名:「SPring-8」の関係者の皆さま(右から4番目が石川哲也先生)
左側4名:カワダロボティクスのメンバー(左から4番目が川田テクノロジーズ、川田工業、カワダロボティクス社長の川田忠裕)





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●Profile● 石川 哲也(いしかわてつや)先生



国立研究開発法人 理化学研究所 放射光科学研究センター センター長

1954年静岡県生まれ。1982年東京大学大学院修了。工学博士。

高エネルギー加速器研究機構助手、東大工学部助教授などを経て、1995年理研マイクロ波物理研究室主任研究員。1997年に播磨研究所の発足とともにX線干渉光学研究室主任研究員。2006年から放射光科学総合研究センター長。センター名の改称により2018年から現職。

(参照:https://www.riken.jp/pr/closeup/2021/20210927_1/index.html



NEXTAGEのポテンシャル

―― NEXTAGEの実物を初めて見たときの印象は?

石川先生:

働くNEXTAGEを初めて見たのは、NEXTAGEの販売代理店である グローリー株式会社 の埼玉工場で、動きはじめるときのちょっと考え込むような動作がとてもかわいいなと思いました。人間と一緒に働ける「ヒト型協働ロボット」というコンセプトに魅力があり、非常に面白いと感じました。



―― そのNEXTAGEを導入いただいた理由は?

石川先生:

放射光を使った実験を行う我々の仕事は、ある意味危険と隣り合わせで、少子高齢化が進む中、人員確保が大変です。一方で、パターン化した作業も多く、それらをロボットに置き換えていくことでDX化が図れないかと思いました。

―― 実際に使ってみた、NEXTAGEの特長は?

石川先生:

以前からシングルアーム(単腕)のロボットはたくさん導入していましたが、NEXTAGEがヒト型であることに、高いポテンシャルを感じています。双腕であること、動作がとても滑らかであること、などの特長を活かした使い方を模索しているところです。 さらに、繰り返し作業時の位置ずれが非常に小さくて再現性が高い。活用の幅が広がりそうなので、もう少し小回りが利く小さいサイズの機体や、逆にもっと重い物を持ち上げられる機体もあるといいなと思っています。



ロボットのロジックで

―― NEXTAGEを活用する上での課題は?

石川先生:

NEXTAGEはヒト型なので人間の作業をそのまま置き換えることのイメージがしやすい。

しかしNEXTAGEは、人間とは異なり左右の手を別々に動かして同時に2つの作業をすることもできる。人間は左右を別々に動かすことは苦手で、どうしても左手と右手を一緒に使ったり、左右を交互、順番に使ったりします。NEXTAGEのポテンシャルを引き出すには、人間の作業を単純にそのまま置き換えるのではなく、NEXTAGEだからこそできるワークフローを組み立てることが必要かなと感じます。人間の動作とはまったく違う発想で、ロボットのロジックで進めていくことがより有機的な利用につながると思いますので、新たなアイデアをカワダロボティクスさんにも提案いただきたいと思います。



―― 今後の活用にあたって要望等は?

石川先生:

遠隔操作ができるともっと活用範囲が広がると思っています。そのためには、ChatGPT等の生成AIを使って手軽にプログラミングができるようになると、ランダムに発生するイベントに対してもかなり応用がききますし、楽しそうですよね。 ヒト型なので、対話しながら、そうした臨機応変な対応ができれば面白いですね。

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「SPring-8」内で稼働中のNEXTAGE
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川田グループへのメッセージ

―― 最後に、私たち川田グループに、メッセージをお願いします。

石川先生:

技術は日々進んでいきます。当たり前のことかもしれませんが、よりよい次のものをどんどん作り続けていただくことがとても大切だと思います。 我々もよく、「今までで一番いい仕事は何か」と聞かれます。私はいつも「次の仕事です」と答えるようにしています。



―― NEXTAGEが、この最先端研究の場で活躍していることを大変うれしく思います。石川先生、放射光科学研究センターの皆さま、「SPring-8」の皆さま、ありがとうございました。 今後ともよろしくお願いいたします。



SPring-8 とは

SPring-8(スプリング-エイト)とは、兵庫県の播磨科学公園都市にある世界最高性能の放射光を生み出すことができる大型放射光施設です。
放射光とは、電子を光とほぼ等しい速度まで加速し、磁石によって進行方向を曲げた時に発生する、細く強力な電磁波のことです。
SPring-8では、この放射光を用いてナノテクノロジー、バイオテクノロジーや産業利用まで幅広い研究が行われています。SPring-8の名前はSuper Photon ring-8 GeV(80億電子ボルト)に由来しています。
SPring-8は国内外の産学官の研究者等に開かれた共同利用施設であり、平成9年より放射光を大学、公的研究機関や企業等のユーザーに提供しています。課題申請などの手続きを行い、採択されれば、誰でも利用することができます。

(参照:http://www.spring8.or.jp/ja/about_us/whats_sp8/





関連情報

理化学研究所 放射光科学研究センター
SPring-8
カワダロボティクス NEXTAGE特設サイト
川田技報 Vol.43(2024年1月発行)
グラビアと特集にSPring-8で活躍するNEXTAGEが掲載されています。
Pen+(ペン・プラス) 日本の科学技術を支える、SPring-8 のこれから。
メディアハウスムック 2023年2月24日発行、記事「ロボット化や自動化が進む、4つのビームライン」でNEXTAGEが紹介されています。



<関連するSDGs目標>

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