TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく情報開示

私たちKTI川田グループは、グループ理念である『安心で快適な⽣活環境の創造』のもと、グループ各社が展開する事業戦略と⼀体化したサステナビリティ課題への取り組みを推進しています。そしてまた『⼋⽅よし』(※)の精神に則り、すべてのステークホルダーとの対話や共創を通じて、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」を目指しています。

国際連合「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えられない場合、異常気象や生物多様性の損失などのリスクが大きく高まると警鐘を鳴らし、その実現のためには温室効果ガス排出量を2035年に2019年比で60%減らす必要があると提言しています。当社グループは、サステナビリティに関する重要課題(マテリアリティ)の一つに「地球環境の保全・改善」を掲げています。地球温暖化を含む気候変動問題は、当社グループのステークホルダーを含めて、この地球に暮らす全ての人びとにとって、喫緊の課題となっています。

2023年6月、当社グループは、TCFD(※)提言への賛同を表明し、気候変動問題への取り組みとTCFDの提言に沿った情報開示を進めるとともに、気候変動に関するリスクと機会に適切に対応し、「カーボンニュートラル社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を目指しています。

  • 「八方よし」とは、近江商人の心得と言われる「三方良し」を独自にさらに拡張しステークホルダー全てに利をもたらす企業グループを目指すという考え方です。
  • TCFDとは、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、2015年12月に金融安定理事会(FSB)により、気候関連問題に関する情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために設立されました。TCFDは、気候関連問題を適切に評価できるような一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な情報開示を促す提言を策定することを目指して議論を重ね、2017年6月にTCFD提言を公表しました。

ガバナンス

取締役会の諮問機関として、サステナビリティ推進委員会を設置しています。委員長は取締役であるサステナビリティ推進室長が務め、取締役会が選任する委員で構成されます。委員会は原則として毎月開催され、気候変動を含むサステナビリティ課題に関するリスクや機会について幅広く議論し、対応策を検討し、定期的または必要に応じて取締役会に報告・答申を行います。

取締役会は重要な方針や課題についての審議・決定を行い、その後、サステナビリティに関する重要な方針や課題についてモニタリングを行います。また、指揮・監督の責任も担い、サステナビリティへの取り組みが適切に進められているかを確認します。

このように、サステナビリティ推進委員会と取締役会の役割分担を通じて、そしてそれらが有機的な連携を行うことで、サステナビリティ経営を着実に推進してまいります。

サステナビリティ推進体制
サステナビリティ推進体制

戦略

当社グループは、気候変動問題をリスクと機会の両面で捉えており、非常に重要な社会課題と認識しています。そして、移行リスクについては1.5℃以下シナリオ(※)、物理的リスクについては4.0℃シナリオ(※)を活用し、2030年代までを中心に、事業への影響度を勘案し、当社グループの全ての事業を対象にリスクと機会を検討・分析しました。以下に特定したリスクと機会を示します。

気候変動に関するリスクと機会
気候変動に関するリスクと機会
  • 1.5℃以下シナリオ
    2050年までに地球規模で温室効果ガス排出量ゼロを実現する規範的シナリオ。
    政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2022」の「NZE2050シナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP1-1.9シナリオ」に原則として準拠。
  • 4.0℃シナリオ
    現時点で公表されている温室効果ガス削減に関する政策や目標の撤回を含めて、気候変動問題に対する有効な政策が実施されないシナリオ。
    政策、エネルギー・産業構造、資源価格等は、IEA「World Energy Outlook 2021」の「STEPSシナリオ」、平均気温等気候変動に関する想定は「IPCC第6次評価報告書」の「SSP5-8.5シナリオ」に原則として準拠。


これらへの対応については、当社グループのマテリアリティの中の重点課題である

  • 地球温暖化対策の推進
  • 自然災害や通信障害に強いインフラ構築と社会のレジリエンスの強化
  • 技術革新と規制改革への対応
  • 持続可能性を重視したエネルギー・天然資源の活用
  • 社会・技術インフラを支える人財育成とテクノロジー開発
  • リスク管理・BCP強化

への取り組みの中で解決していきたいと考えています。

リスク管理

サステナビリティ推進委員会は、当社グループ各社の取締役や経営幹部に対する意識調査を実施し、気候変動に高い関心を持っていることを確認するとともに、重要なリスクや機会を網羅的に抽出します。さらに、外部専門家の助言を活用し、専門知識に基づいた重要なリスクや機会の特定を行っています。

特定されたリスクは、取締役会に報告され、審議・決定の対象となります。取締役会の関与により、組織全体のリスク管理の透明性と責任を確保しています。さらに、取締役会はリスクのモニタリングを行い、適切な指揮・監督を行っています。組織の柔軟性と能動性を確保するために、変化する状況や新たなリスク要因に対応するための努力を継続的に行っています。

指標と目標

当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を管理するための指標として、環境負荷に関する重要なリスクである温室効果ガス排出量を考えています。GHGプロトコルの基準に基づき、自社の製造プロセス・事業活動における軽油・重油・ガス等燃料使用による直接排出であるScope1と他社からの電力・熱の購入等による間接的な排出であるScope2について、2022年度を基準年度として、当社とその連結子会社8社を対象とした温室効果ガスの排出量の算定を行いました。今後、Scope1、Scope2以外の間接排出(当社グループの活動に関連するサプライチェーンの排出)であるScope3についても早期に算定を進める予定です。

なお、当社グループの2022年度の温室効果ガス排出量は22,070.3t-CO2となっています。今後は、サステナビリティ推進委員会が中心となって、当社グループ各社と協働で温室効果ガスの排出量削減策の検討を行い、それに基づいて削減目標の設定を行う予定です。

温室効果ガス排出量 内訳
温室効果ガス排出量 内訳

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