TCFD提言に基づく情報開示

TCFD提言に基づく情報開示

最終更新:2026年6月12日

私たち川田グループは、グループ理念である『安心で快適な⽣活環境の創造』のもと、グループ各社が展開する事業戦略と⼀体化したサステナビリティ課題への取り組みを推進しています。そしてまた『⼋⽅よし』の精神に則り、すべてのステークホルダーとの対話や共創を通じて、「持続可能な社会の実現」と「グループの持続的な成長」を目指しています。

国際連合「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」の最新の科学的知見である第6次評価報告書において、産業革命前からの気温上昇を1.5度以内に抑えられない場合、異常気象や生物多様性の損失などのリスクが大きく高まると警鐘を鳴らされるとともに、気温上昇を1.5度以内に抑えるために、新たに「温室効果ガス排出量を2035年に2019年比で60%削減する」という目標が追加提言されています。当社グループは、重要課題(マテリアリティ)として「地球環境への貢献」を掲げ、その重点課題として「気候変動問題への積極的な貢献」を設定しています。地球温暖化を含む気候変動問題は、当社グループのステークホルダーを含めて、この地球に暮らす全ての人びとにとって、喫緊の課題となっています。

2023年6月、当社グループは、TCFD提言への賛同を表明しました。現在、TCFDの枠組みは国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)に引き継がれ、より高度な開示基準への移行が進んでいます。当社グループは、まずはTCFD提言を基礎とした情報開示の充実を図りつつ、今後の新たな基準への対応に向けた準備を段階的に進めるとともに、気候変動に関するリスクと機会に適切に対応し、「カーボンニュートラル社会の実現」と「中長期的な企業価値の向上」を目指しています。

  • 「八方よし」とは、近江商人の心得と言われる「三方良し」を独自に、さらに拡張し、ステークホルダー全てに利をもたらす企業グループを目指すという考え方です。
  • TCFDとは、「気候変動関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」の略称で、G20財務大臣・中央銀行総裁会議の要請を受け、2015年12月に金融安定理事会(FSB)により、気候関連問題に関する情報開示及び気候変動への金融機関の対応を検討するために設立されました。TCFDは、気候関連問題を適切に評価できるような一貫性、比較可能性、信頼性、明確性をもつ、効率的な情報開示を促す提言を策定することを目指して議論を重ね、2017年6月にTCFD提言を公表しました。

ガバナンス

取締役会の諮問機関として、サステナビリティ推進委員会を設置しています。委員長は取締役であるサステナビリティ推進室長が務め、取締役会が選任する委員で構成されます。委員会は原則として毎月開催され、同委員会の下部組織として当社グループ各社の総務部長等をメンバーとしたサステナビリティ推進会議、さらにその下部組織として当社グループ各社のサステナビリティ推進委員会が存在します。これらの委員会への指示・諮問に対する報告・答申に基づき、気候変動を含む幅広いサステナビリティ課題について、その相互関連性などを含めたリスクや機会を議論し、対応策を検討し、定期的または必要に応じて取締役会に報告・答申を行います。

取締役会は重要な方針や課題についての審議・決定を行い、その後、サステナビリティに関するさまざまな活動の内容や進捗状況等についてモニタリングを行います。また、指揮・監督の責任も担い、サステナビリティへの取り組みがサプライチェーンを含めて適切に進められているかを確認します。

このように、取締役会並びにサステナビリティ推進委員会がそれぞれの役割分担を通じて、そしてそれらが有機的な連携を行うことで、サステナビリティ経営を着実に推進しています。

サステナビリティ推進体制
サステナビリティ推進体制

戦略

当社グループは、気候変動問題を非常に重要な社会課題と認識しており、リスクと機会の両面で捉えています。カーボンニュートラル社会の実現と中長期的な企業価値の向上を達成するため、2026年3月に「川田グループ環境方針」を策定しました。

今般、事業環境の変化等を踏まえ、気候変動に関するリスクと機会の見直しを行いました。移行リスクについては1.5℃以下シナリオ、物理的リスクについては4.0℃シナリオを活用し、主に2030年代までを中心に、当社グループの全ての事業を対象に検討や分析を行いました。

これらの検討や分析を通じて抽出されたリスクと機会の評価にあたっては、財務的影響の定量化が可能な項目については一定の閾値を設けて優先順位付けを行い、定量化が困難な項目については定性的な影響度を総合的に評価して優先順位を決定しました。また、これらの評価結果に基づく具体的な対応策も策定しました。策定プロセスにおいては、想定される対応策の効果を加味して再度評価を行い、最終的に重要度が高いと特定された項目に対して重点的な対応策を明確にしました。

これらの取り組みは、サステナビリティ推進委員会を中心としたグループ横断的な体制のもとで推進しており、継続的なレジリエンスの強化と、気候変動を事業機会として活かす経営の実現を目指しています。以下に、本プロセスを経て特定された主なリスクと機会およびその対応策を示します。

気候変動に関するリスクと機会
気候変動に関するリスクと機会
  • 1.5℃以下シナリオ
    IEA「NZE(Net Zero Emissions by 2050)」等を使用。2050年までに世界全体の温室効果ガス排出を実質ゼロにすることを目指し、1.5℃に整合した移行シナリオ。再エネ導入、電化、炭素価格の導入などを前提とし、急速な制度・市場変化を伴う移行リスクを評価する上で有効であるため、本シナリオを採用。
  • 4.0℃シナリオ
    IPCC「SSP5-8.5」等を使用。排出削減策がほとんど講じられなかった場合を想定し、2100年時点で気温が2.6~4.8℃上昇する高排出シナリオ。極端気象の頻発、海面上昇、インフラやサプライチェーンへの影響など、深刻な物理的リスクを評価する上で有効であるため、本シナリオを採用。

リスクと機会の管理

当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を対処すべき重要課題の一つとして位置づけ、以下のプロセスを通じて継続的な監視・管理を行っています。



1. リスクと機会の識別・評価プロセス
潜在的なリスクや機会については、グループ各社のサステナビリティ推進委員会において網羅的に抽出・識別し、サステナビリティ推進会議を通じてサステナビリティ推進委員会へ集約されます。その際、外部専門家の助言を活用し、幅広い視点から検討を行っています。抽出・識別された項目は、財務的影響の定量化および定性的な影響度の総合評価を実施し、優先順位付けを行うことで、当社グループにとって重要なリスクおよび機会として特定しています。

2. 特定された重要な気候関連リスクと機会に対する対応策の進捗状況については、サステナビリティ推進委員会が定期的に評価・監視を行います。その結果は取締役会に報告され、審議・監督の対象となります。



これにより、気候関連のリスクは当社グループの全社的なリスク管理プロセスに、機会は事業戦略の策定プロセスにそれぞれ統合されています。取締役会による継続的なモニタリングを通じて、変化する事業環境や新たなリスク要因に対して機敏に対応策を見直す体制を構築しています。

指標及び目標

当社グループは、気候変動に関するリスクと機会を管理するための指標として、環境負荷に関する重要な要素である温室効果ガス排出量を位置づけています。また、気候変動への取り組みを推進し、環境への負の影響を最小限に抑えるためには、当社グループ自身の温室効果ガス排出量の削減に加え、サプライチェーン全体での排出量削減に向けた取り組みも重要であると認識しています。

こうした認識のもと、2025年12月にSBTiの認定を取得し、2030年度を達成期限とする中間目標(Near-term目標)を設定しました。当社グループは、脱炭素への取り組みを単なるコスト負担としてではなく、受注機会の拡大やコスト削減といった事業機会の創出等にもつながるものと捉え、リスクと機会の両面から気候変動対応を推進していきます。こうした考え方のもと、削減目標を着実に達成するための道筋を示すものとして、2026年5月に気候移行計画を策定しました。

温室効果ガス排出量、目標ならびにその対応策については、以下のとおりです。

  • SBTi(Science Based Targets initiative)とは、世界の産業革命前からの気温上昇を1.5℃に抑えることを目指すパリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する科学的根拠に基づいた温室効果ガス排出量削減目標を認定する国際的なイニシアチブです。



○ Scope 1・2 排出量
GHGプロトコルの基準に基づき、2022年度を基準年度として、当社および連結子会社8社のScope1(直接排出)とScope2(間接排出)の排出量を算定しております。なお、SBTiの認定取得に伴い、2022年度以降の排出量について再算定を実施しています。
削減目標として、2050年度までに実質ゼロ、2030年度までに2022年度比42%の削減(内訳:航空2社合計で4%削減、その他7社合計で61%削減)を設定しています。なお、SBTiの認定取得に際し、従来の2030年度までの削減目標を見直しており、本目標は認定基準に整合した水準として改めて設定したものです。
排出量の算定および削減目標に基づき、Scope1では生産性向上によるエネルギー削減を最優先としつつ、社有車等のハイブリッド車への計画的切り替えやバイオ燃料の導入を進めています。また、Scope2においては、本社・工場等および建設現場において再生可能エネルギー由来の電力プランへの切り替えを行うとともに、工場では自家消費型太陽光発電(自己所有およびPPAモデル)の導入を進めています。

○ Scope 3 排出量
GHGプロトコルの基準に基づき、2023年度を基準年度として、当社グループのScope3(サプライチェーンを含む間接排出)の排出量を算定しています。なお、Scope1・2同様、SBTiの認定取得に伴い、2023年度以降の排出量について再算定を実施しています。
算定の結果、当社グループのScope3排出量のうち、カテゴリ1(購入した製品・サービス)に係る排出量が概ね8割を占めることを確認しています。この結果を踏まえ、SBTiの認定基準と整合するカテゴリ1を対象に、2030年度までに2023年度比で25%削減する目標を設定しています。
この目標の達成に向けては、排出量の大部分を占める鉄鋼材料の調達において、GXスチール(グリーントランスフォーメーション対応鋼材)の採用や高炉材から電炉材への転換を推進するなど、サプライヤーとの積極的なエンゲージメントに取り組んでいます。
温室効果ガス排出量の削減目標
温室効果ガス排出量の削減目標
温室効果ガス排出量の削減実績
温室効果ガス排出量の削減実績
  • マーケット基準
    契約に基づいて購入した電力の排出原単位に基づき算定する方法で、電気事業者別排出係数を用いて算定しました。
  • ロケーション基準
    事業活動を行う国などの区域内における発電に伴う平均の排出原単位に基づき算定する方法で、全国平均係数を用いて算定しました。
  • (注)2025年12月のSBTi認定取得に伴い、2022年度以降の数値を遡及して再算定しているため、過去の開示数値と異なります。

このように、当社グループでは、SBTi基準に基づく削減目標および気候移行計画に沿って、温室効果ガス排出量の削減に向けた取り組みを着実に推進していきます。

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