2018/06/19 社会 地域社会

観光スポットとしても親しまれる巨大な大仏、技術をもって見守る川田工業

茨城県牛久(うしく)市にある牛久大仏は高さが120mもあり、1995年に世界一高い「青銅製立像」としてギネスブックに登録されています。

この世界一高い大仏を維持管理するために、川田工業の技術がどのように役立っているかをご紹介します。

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牛久大仏


牛久大仏は浄土真宗東本願寺派本山東本願寺が事業主体です。川田工業の設計施工で、約7年の歳月をかけて1993年に完成しました。


牛久大仏の足元にある浄土庭園は観光スポットとしても有名です。園内にはうさぎやヤギと触れ合える小動物公園、約1万平方メートルのお花畑、仲見世、食事処などがあり、ゆっくりと楽しむことができます。


信仰の対象であるだけでなく、地域にとって大切な観光資源である牛久大仏。その牛久大仏を維持管理し、守っていくことは、社会にとっても大きな意義があります。


川田工業では、高い技術力を駆使して「牛久大仏の見守りシステム」を開発し、運営しています。

そこで、牛久大仏の維持管理を担当している川田工業建築事業部工事部の三浦部長から説明を受けた内容をご紹介します。

巨大大仏の点検について

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「内部点検は大仏全体を4つのエリアに分けて、1つのエリアを1年で点検し、4年で1サイクルとなるように点検しています」


―基本的な構造は?

「下部の基壇(きだん)は鉄骨鉄筋コンクリート造、蓮台(れんだい)と仏像本体は鉄骨造です」


―点検はどう行っているんですか?

「各ボルトに緩みが出ていないかをハンマーでたたいてチェックします。また、外壁銅板パネルのジョイントから水漏れしていないか、鉄骨がさびていないかなどを点検します。是正が必要な箇所はその場で補修していきます。全て人間が目視で行っていて地道な作業です」

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さび止め塗装の様子

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―どの箇所の点検が難しいですか?

「肩から上、特に頭部が難しいです。鉄骨が入り組んでいてジャングルジムのようになっているところを、見上げた状態での点検となるので大変ですよ」


―1年の内、点検の期間はいつからいつまででしょうか?

「5名で2週間くらいかけて点検をしています。今は4月に行っています。夏場は入れないです。温度が50℃くらいになってしまうので...」


―50℃!冷暖房は?

「ないです。外壁が銅板だから熱の伝導性がよいので暑くなってしまいます。5月の連休明けから9月までは暑くて作業はできないですね」

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点検作業の様子


―点検中に一番大変なことはなんですか?
「照明はついていますが、それほど明るくない現場です。危険なところは落下防止のネットを張っています。現場で作業をしてくださっている鳶(とび)の職人さんには慣れたものなのかもしれませんが、怖いですよね」

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―では外観の点検はどうやって行うのでしょうか?
「地上からでは望遠鏡でも形状が複雑なため、細かいところは点検できません。そこでドローンを使用してカメラによる外観点検を行っています」

「ドローンにデジタル一眼カメラを搭載し、約9000枚の写真撮影を行い画像処理することによって、3Dモデル化してパソコンなどで細部まで確認できます。ドローンを操作して点検を行うときには、大仏様にぶつからないように慎重に行いました」

よく見ると頭の上に何か立ってる...?

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―ところで、これだけ大きいと雷が落ちてきませんか?
「大仏様の頭頂部に落雷抑制型の避雷針を設置しています。通常の避雷針は誘導針ですが、落雷抑制型避雷針は先端がマイナス電荷になることにより、落雷自体を防ぐ仕組みです」

―ここまで構造が複雑だと大雨のときなどに内部に雨水が浸み込むこともあると思いますが、どうしているのでしょうか?
「大仏様の衣のそでや指先などの水がたまりやすい箇所には水抜きがあり、外部に流れる仕組みになっています。水がたまりやすい展望台の上のフロアなどは、念のため防水塗装を施工しています」

24時間見守っている

―その他の自然災害についてはどう対策していますか?

「地震や風による構造物の揺れを建物に設置した観測機器でリアルタイムに計測し安全性や被災度を判定する技術『牛久大仏見守りシステム』を自社開発し、2016年4月から運用を始めました」


―『牛久大仏見守りシステム』とは具体的にどういうシステムなんでしょうか?

「大仏様に各種計測装置を設置し、震度3以上の地震が起きると関係者のスマートフォンやパソコンに地震概要と簡易判定結果が送信されます」

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計測装置で地震を感知
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「簡易判定で『点検』または『一時退避』の表示となった場合は現地に調査に赴いたり、観測値の解析を行ったりして、詳細判定を実施します」

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―なるほど。地震などの自然災害に関しても24時間見守っているわけですね。

「はい。『川田工業がきちんと管理しているんだ』と思っていただけるとありがたいですね」



このように私たちは、地域のランドマークでもあり、信仰の対象でもある大仏様を大切にしていく仕事に携われることを大変誇りに思っております。

川田工業は、今後も技術をもって社会に貢献できるよう努力してまいります。



詳しくは、川田工業Webサイト・川田技報vol.36の特集「牛久大仏を見守る」をお読みください。

関連情報


牛久大仏のWebサイトです。



今回説明を受けた三浦部長のほかにも、多くの社員が牛久大仏の保全・補修に取り組んでおります。最後に、牛久大仏の威厳ある美しいお姿と、それを維持するため尽力している活動状況を写真でご覧ください。

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