2018/04/09 社会 地域社会

NEDOのインフラ維持管理用ロボット技術成果報告会で発表

3月8日、東京都港区の機械振興会館において国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)主催の「インフラ維持管理用ロボット技術成果報告会」が開催され、川田テクノロジーズ技術研究所の金平所長が「マルチコプタを利用した橋梁点検システムの研究開発」と題して発表しました。



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満員の会場での発表
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技術研究所の金平所長

この報告会は、NEDOが2014年度から実施してきた「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」のうち、ロボット分野の最終年度として、成果を報告するものです。

現在、高度成長期以降に整備された橋・トンネルなどの社会インフラや石油プラントなどの産業インフラの老朽化が加速度的に進んでいます。しかし、インフラの老朽化に対応するための十分な資金と高度な維持管理の専門知識を有する人材の不足が、大きな社会課題となっています。

そこで、NEDOでは、本プロジェクトの目的を「実現場での実用性を重視したシステムを開発すること」と定め、インフラ構造物の周辺および災害現場で人の立ち入りが困難な箇所へ的確かつ迅速に移動し、インフラの維持管理および災害復旧に必要な情報を取得できるロボットの開発と実証実験を行ってきました。

その一環として、川田テクノロジーズでは、橋梁の老朽化という社会課題解決に貢献するため、目視検査が困難である高橋脚などの橋梁を対象に、精細な画像撮影を行える「マルチコプタを利用した橋梁点検システム」の研究開発を行いました。

本システムは、当社が国立研究開発法人産業技術総合研究所の支援を受けて機体・制御をデザインしました。そして、大日本コンサルタント株式会社が活用方法をデザインし、同社が「マルコ™」として商標登録しています。

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高精細画像取得型(機体の中央にカメラを設置)
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橋梁着脱型(機体の中央に磁石を設置)

マルコの機体は装置を付け替えることにより、「高精細画像取得型」と「橋梁着脱型」の2種類の用途に活用できます。

高精細画像取得型は、コンクリート壁面やコンクリート桁下面に沿って網羅的に飛行し、高精細で一定解像度の画像を取得できます。

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40mの高い橋脚に沿っての飛行実験(高精細画像取得型)
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赤いロープと機体のロープを連結させて飛行範囲からの逸脱を防止

橋梁着脱型は、本体に取り付けた磁石によって、鋼鉄製の橋桁に磁着します。そして、プロペラの回転を止め、橋桁に磁着したまま点検対象に向けて移動します。目的地でアーム式カメラを伸ばして、目視が困難な狭隘部を撮影できます。

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鋼鉄製の橋桁まで飛行して磁着(橋梁着脱型)
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橋桁に磁着した状態でアーム式カメラを伸ばして撮影

4年間で17回行った実証実験では、従来手法である高所作業車やロープで降下する特殊高所技術者による目視点検と比較して、コストの削減や安全性の向上といった効果を期待できることが確認されました。

今後は橋梁点検車や高所作業車を用いる高さ数m以上の範囲に本システムを使用するなど、従来点検手法との組み合わせを想定し、実際の業務で活用しながら、2年間程度で実用化できるように、運用の改善や周辺技術の組み込みを行っていきます。

川田テクノロジーズでは、今後も社会課題解決に貢献するため、技術研究開発に取り組んでまいります。

関連情報

NEDOのWebサイトに「インフラ維持管理・更新等の社会課題対応システム開発プロジェクト」の詳細が掲載されています。

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