3Dデジタル溶接マスクシステムの販売を開始

3Dデジタル溶接マスクシステムの販売を開始
~ 溶接技能伝承のDX実現に向けて第一歩を踏み出しました ~

川田テクノロジーズ株式会社(東京本社:東京都北区、代表取締役社長:川田忠裕、以下川田テクノロジーズ)と川田工業株式会社(東京本社:東京都北区、代表取締役社長:川田忠裕、以下川田工業)は、世界初となる3Dデジタル溶接マスクシステムの製品第一号を、1月に職業訓練校に納入しました。今回の納入を皮切りに、「見えづらい・見せづらい・伝わりづらい」という課題を抱える溶接教育現場のDX(Digital Transformation)実現に向けて、この製品を広く展開して参ります。

3Dデジタル溶接マスク
3Dデジタル溶接マスクの模式図

少子高齢化の進む日本において、溶接士の確保、育成及び溶接技能の継承は喫緊の課題となっています。溶接は高い技量が要求され、溶接技術の伝承が困難な原因の一つとして、溶接者視野目線での鮮明な溶接映像を記録する手段が実現されていないということが挙げられています。

私たちはこの課題を解決するため、独自の光学設計による小型カメラシステムを溶接保護面に組み込み、最新の画像合成技術を用いることで、溶接者の視野を圧倒的な鮮明さでデジタル化する3Dデジタル溶接マスクシステム(以下、本製品)を開発し、製品化に成功しました。本製品では、別置きのコントロールユニットで画像合成された映像が、リアルタイムで溶接保護面内のヘッドマウントディスプレイ(以下、HMD)に、奥行のある3D映像として表示されます。溶接者は従来の遮光ガラス越しで見る視野よりも、広く鮮明な画像を見て溶接を行うことができます。

さらに溶接中の映像は録画して後で確認することも可能です。溶接指導者は訓練生の映像を用いて溶接の課題を明確に指摘することができます。また、熟練の溶接作業者の溶接技術をデジタル映像データとして残すための記録装置として利用していただくこともできます。

2022年に創業100周年を迎えた川田工業は、鋼製橋梁および建築鉄骨を主体とするファブリケーターとして、長年溶接に関する技術を培い、知識を蓄えてきました。本製品は、当社の持つ溶接に関する知見を最新のデジタル技術と融合させることで、溶接業界の抱える課題の解決に貢献することを目指して開発されたものです。

今後は教育ツールとしての機能向上を継続的に行いながら溶接教育分野での製品展開を図っていく計画です。また開発した溶接可視化技術を溶接作業モニタリング分野に適用する検討もすでに始めており、溶接分野全般に対するDXを実現する事業として育てて参ります。

デジタル溶接マスクシステムの特長

1.世界初、溶接部を圧倒的な広い視野と鮮明さでデジタル化

本製品は、最新の画像合成技術により、溶接士の視野目線での溶接状況を、広範囲で鮮明な映像としてデジタル化し、リアルタイムで溶接保護面内のHMDに表示します。HMDには奥行の感じられる3次元映像で表示されます。従来の溶接専用カメラに比べて小型で、被写界深度も深く、160dB以上のダイナミックレンジを有しています。

また、溶接電源から溶接電圧と溶接電流値を取得し、HMDの溶接映像に重畳して提示しますので、溶接者は溶接中にそれらの情報を確認しながら溶接を行うことができます。

3Dデジタル溶接マスクを用いた溶接
3Dデジタル溶接マスクを用いた溶接
HMDに表示される映像の例
HMDに表示される映像の例

2.合理的・効果的な溶接教育の実現に寄与

溶接者視野目線でデジタル化された画像や電圧・電流値などの各種情報は、共有・録画・記録が可能です。溶接映像をリアルタイムに多人数で共有したり、溶接の様子を模範となる溶接映像と比較して後で確認することができ、「見えづらい・見せづらい・伝わりづらい」という状況を解決します。

溶接中のリアルタイム映像を表示
溶接中のリアルタイム映像を表示
溶接中のリアルタイム映像を表示
録画データを使った教育

3.技量を定量的に評価するシステムを用意

運棒動作評価結果の例
運棒動作評価結果の例

解析用に録画した画像をクラウド上の専用ソフトに読み込むことで、溶接者の技量を定量化して提示します。具体的には、画像処理によって得られたアーク軌跡と溶融池面積の時間変動量や、画像と同期して取得した電流値の変動量を評価することで、訓練生の運棒動作を数値化します。

訓練生は改善すべき点を明確に知ることができ、また上達の様子が定量的に示されるため、訓練におけるモチベーションの向上につながります。

ユーザー様からのコメント

解独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構
広島支部 広島職業能力開発促進センター 金属加工科 近藤指導員様より

今までは溶接をやって見せても伝わっているか分かりませんでしたが、この機器は溶接士の目線の映像を生徒に見せられるのがとても良く、伝わっているのが実感できます。今後は生徒への使用頻度を増やしていき、自分の溶接の振り返りや、手本との違いが見せられればと思います。

3Dデジタル溶接マスクシステム製品仕様

■製品構成:
3Dデジタル溶接マスクシステム製品仕様
■概略仕様:
3Dデジタル溶接マスクユニット(WTS-MS-M1)
 ●ヘッドマウントディスプレイ(内蔵解像度:1920×1080(左右)、25コマ/秒以上)
 ●サイズ:長さ 340×幅 250×高さ 320 mm
 ●重量:1.6kg(ケーブル除く)
コントロールユニット(WTS-CT-M1)
 ●ストレージ:300GB以上
 ●入力端子(溶接電流、溶接電圧)
 ●録画データ記録機能/解析データ記録機能
 ●サイズ:長さ 400×幅 113×高さ 295mm
 ●重量:5.1kg(ケーブル除く)
 ●電源:AC100V/140W(50Hz/60Hz)

【関連情報】

【製品に関するお問合せ先】

  • 川田工業株式会社 事業企画部 北川
  • TEL:03-6757-7132  FAX:03-6757-3534  e-mail:support-weldia@kawada.co.jp

【プレスに関するお問合せ先】

  • 川田テクノロジーズ株式会社 広報室
  • TEL:03-3915-4609  FAX:03-3915-3933  e-mail:koho@kawada.co.jp

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