2018/03/29 社会 コミュニケーション

川田工業のお客さま「三進金属工業株式会社」インタビュー

川田工業では、お客さまのご意見やご要望を直接お聞きすることを心掛けております。

今回はシステム建築のお客さまで、1964年創業のラック総合メーカー三進金属工業株式会社さまにお話をお伺いしました。

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三進金属工業株式会社福島工場


三進金属工業はラック用部品から完成品までを開発・供給するメーカーであり、近年では植物工場などの新しい事業にもチャレンジされています。


2014年には「緑化運動推進功労者・内閣総理大臣表彰」を受賞、2016年には福島工場がいきもの共生事業推進協議会から「いきもの共生事業所認証(ABINC認証)」を取得されています。


同社の福島工場は、ラック製造工場として国内最大規模を誇り、「ファクトリーパーク」をキーワードとし、リンゴ、桃、柿、栗、キウイ、ブドウなどの果樹を栽培されています。

周囲にはオオタカをはじめとした野生生物が息づく森があり、豊かな自然の恵みにあふれる素晴らしい環境です。

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地域の方も利用できる緑正館
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この福島工場でインタビューにお答えいただいたのは、同社の代表取締役専務新井さまです。

2001年4月竣工の第一工場、2008年10月竣工の第二工場、2013年10月竣工の第三工場を川田工業が建設いたしました。

そのご縁から、当社取締役の松﨑建築事業部長との対談を行わせていただきました。

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工場が一望できる東屋にて。(左:新井さま、右:松﨑)

松﨑

工場がきれいに使われていてとてもうれしいです。
2001年に竣工した第一工場の外観は未だに新築のようですよね。

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三進金属工業株式会社福島工場第一工場



新井さま

工場といえば自分の城のようなものですから。

壁なども色あせがあればリペアして、いつお客さまが来ても恥ずかしくないようにしています。

松﨑

いろいろ新しい事業に挑戦されていますね。

弊社も見習わなければならないと感じさせられます。

福島工場内に新たな農業の会社をつくられたと伺っています。

新井さま

はい、昨年の6月にグループ内に農業法人としてサンシン夢ファーム株式会社を立ち上げました。

緑正館の食堂では当工場敷地内で作った野菜を使用していますが、近いうちにお米も含めて自給自足ができると思います。

夏祭りには、ここで収穫したじゃがいもでフライドポテトを作っています。

フライドポテト、めちゃめちゃおいしいですよ!

松﨑

非常に頭が柔らかいというか、新しいものに対して柔軟に取り組んでいらっしゃいます。

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食堂でいただいたお食事
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川田工業をご採用いただいた経緯

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新井さま
安心して恒久的に使える工場を建てられる建設会社を探していたとき、大手商社さんから「橋梁を作っている会社で工場建設に強みを発揮するシステム建築を扱っているええ会社がある」と川田工業さんを紹介していただきました。


「システム建築とはどういう作り方なんや?」と聞いたところ、「柱のない工場を作ることを得意にしていて、工期も早い」と。

「そんなにスピーディーに建設ができるのか」と会長(当時社長)が川田工業さんに惚れ込んだのが馴れ初めです。


あのときは松﨑さん、課長でしたよね。

たぶん会長からいっぱい言われたと思いますよ(笑)

技術的な部分というより、納期は大丈夫ですか?とか、金銭面のこととかね(笑)

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松﨑
当時は、システム建築を立ち上げてから、それほど年数が経っていませんでした。


アメリカから技術導入して大臣認定を取って営業を始めて「こんなに大きな仕事ができるんだ!」と期待に応えようと本当に目を輝かせて取り組んだ記憶があります。

新井さま
その時代は日本でシステム建築という名は通っていませんでしたよね。
会長は松﨑さんにシステム建築というもので、本当に工場ができるのかとずっと聞いていましたね。

松﨑
弊社がシステム建築を始めて今では四半世紀、あの当時はまだ実績もそうありませんでした。

しかし、アメリカでは60年の長い歴史があったため、自信がありました。


最終的に決断していただいたのは、弊社の栃木工場をご案内したときでした。
超高層ビル鉄骨の4面BOXコラム柱を作っている現場とシステム建築で建てた栃木の第二工場の見学で、ご納得されたようです。

実物をご覧になって、その日のうちに「川田に決めた」とご連絡をいただきました。

新井さま
「今行ってきた。すごい会社やな、お前」って(笑)

松﨑
その後、ご心配されていた積雪の問題ですとか、地震も起きましたが...。

東日本大震災にも耐えた福島工場

新井さま
一番心配していたのは雪でした。
引渡しが迫る3月だったのですが、2月末に今でもないくらいの積雪があって...。
設備を入れたばかりなのに、どんどん雪が積もってきて屋根がつぶれるんじゃないかとヒヤヒヤしたのを覚えています。


引渡し直前の2001年4月1日に無事、竣工パーティーを行いました。
春なのに雪が降って、みんな風邪ひいて帰りました(笑)

松﨑
それから2011年に、あの東日本大震災がありました。

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福島第一工場内部

新井さま
会長が福島第一工場をシステム建築で建てると決めたときに「アメリカで多数実績がある工法だから大丈夫だ」と。

しかし社内では「日本はアメリカと違って地震があるけど大丈夫なのか」という声もありました。


あのときはお客さまを福島工場内で案内していて、ノンレールタイプの移動ラックのボタンを押したところで地震がグラっときました。


最初の横揺れでは、「徐々に収まるかな?」と思いましたが、その次の瞬間、尋常ではない大きな揺れがあり「これはまずい」と。

80メートルの大空間で真ん中には柱1本です。

窓と壁が波打っているし、これ以上揺れたらガラスが飛散するのではと感じました。

柱の下は安全だと思い、「柱まで走りましょう」と言って最後の揺れが収まるまで待ちました。

松﨑
第一工場の前のアスファルトが、波のようにうねるくらいすごい揺れだったと伺いました。

新井さま
あれだけ窓と壁が波打っていたのに窓ガラス一枚割れずに無傷だったのには驚きました。

川田工業さんにお願いして本当によかったなと。
福島工場の社員は命を守ってくれた工場だと、全員そう認識していますよ。
私たちは川田工業の実績、実力に安心しきっています。

松﨑
お褒めにあずかって恐縮です。

新井さま
いえ、現実の話ですから。
第二、第三工場も川田工業さんに施工していただきました。
補修や改修していただく部分もなく、今に至っているのはすごいことだなと思います。

現在のお付き合いと川田工業に対するご要望について

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松﨑
本当に不思議なご縁です。
弊社はカタログで御社のラック製品をご案内させていただいています。

新たなお仕事のお話があれば、お互いに情報交換させていただいております。

新井さま
当社はこれだけの安心安全をいただいたことを身に染みて感じています。
工場建設を考えられている企業があれば、「いいところがありますよ」とお話をさせていただいています。

松﨑
本当にWin-Winの関係でお付き合いさせていただいて助かっております。
受注前のお客さまをこの工場にご案内すると仕事が決まるんです。

新井さま
工場に見学に来られる方は目先の数字を追うのではなく、この先どうすべきかを判断する方ばかりですから、大切なのは働く方の安心安全の部分だと思います。 そこは絶対意識されていますから。

単に便利だとか機能性がどうかというだけではなく、この工場を見て建屋自体の本質的で大切なキーワードを感じられるのではないかと思います。

川田工業は橋を作っている企業というのは知っている方も多いと思うのですが、「システム建築=川田工業」となるように、もっとPRしたらいいのではと感じています。

また、私たちは物流業界を歩んできて、IoTは避けて通れないと感じます。

川田グループではロボットにも取り組んでいますし、そういう部分も踏まえた上でPRされたらいいのではと思います。

松﨑
ありがとうございます。

今回は、三進金属工業さまから貴重なお話を伺うことができました。
川田工業では、お客さまとのコミュニケーションを大切にし、ご期待に応えられるよう、今後も努力してまいります。



三進金属工業さまを3つのキーワードでご紹介

設備へのこだわり
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試験体仮組棟

新井さま

最近は規格外の高層ラックの引き合いも多く、出荷前に実際に組み立てて試験をし、納品しています。

ここは高さ30メートルの試験体仮組棟で、御社に無理を言って作っていただきました。

「杭なしでお願いします」と言ったら、「無理です」と最初は断られたのですが...。

地震のときにも耐え、なんの被害もありませんでした。

これも私はすごいと思います。


松﨑

このような設備を持っていらっしゃるラックメーカーは、ほかにはないと伺いました。


新井さま

ラック専業メーカーでは当社だけです。

  • 三つ石
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三つ石の前で

新井さま
工場造成時に岩盤を発破したら、この石が出てきました。
この三つの石、加工をしたわけではなくてこのまま出てきました。


会長に「面白い石が出てきたんですが、邪魔なので発破しましょうか」と聞いたところ、「この石は私たちがここにきて何千万年ぶりかに日の目をみることになった石だ。その意思を粗末に扱うのはよくない」との一言でそのまま残すことにしました。


目に見えない力はそれまで信じていませんでしたが、3.11の震災を乗り切ったときに、これだけの石が出てきて大切にしたから守られたのかなと感じました。

  • 福島への想い
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緑正館に展示されている県内の郷土品

松﨑
福島にかける想いがとても強いですね。


新井さま
当時の村長さんとの出会いがありました。宿命だったのかもしれません。
一期工事のときに会長は「これからは平田村村民になる」と宣言しました。

村に対しての想いは今も変わりません。

地域の方も使用できる緑正館を建設して、ショールームのほか、福島の名産品を紹介するコーナーも設けています。


また、通年で地域のコミュニティセンターとして多数ご利用いただいています。

関連情報

三進金属工業株式会社さまのWebサイトです。

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